雨に濡れた夜のすすきのの交差点。どのビルの壁も明かりのついた看板で埋まり、下をタクシーが走っていく

札幌 / ガイド

すすきのの夜の〆は、味噌ラーメンか、パフェか

すすきのすすきの

飲んだあとの〆はラーメン、とほとんど決まりごとのように言われますが、札幌のすすきのには、答えがもう1つあります。1951年に8軒から始まった横丁の味噌ラーメンか、ビルの上の階で出てくるパフェか。私が面白いと思うのは、常識をひっくり返す側のほうがずっと若いことです。横丁が70年を超えて続くその近くで、〆パフェという呼び名がついたのは2015年。もう1品しか入らないなら、2杯目のラーメンではなくパフェを選んでください。

ただ、すすきのは、地図で探しても正式な地名としては見つかりません。すすきの観光協会自身が「どの札幌地図を捜しても、正式な地名としては、お目にかかりません」と書いていて、使われているのは地下鉄や市電の駅名くらいです。名前の由来にいたっては、協会自身が「本当のところは藪の中ならぬ、すすきの中」としゃれで片づけてしまうほど、はっきりしません。明治4年(1871年)に一帯を区画した工事監事・薄井龍之の姓からという説が通説で、当時この一帯が茅野(すすきのの別称)と呼ばれていたからという説もあります。

すすきの駅から地上に出たら、少し上を見てください。協会はこの街の特徴を、店が1階で終わらず「高層化したビルの群の中で立体的に広がった」ところだと書いていて、その「眠らない街」の夜の人口は約8万人です。

夜の段取りは、最後のグラスから逆算して決めます。このあと紹介する店は、1軒を除いて、すすきの駅の周り、南4〜5条・西3〜5丁目の中に収まっています。

まずはカウンター14席のジンギスカン

薄切りの羊肉ともやし、かぼちゃ、玉ねぎ、ピーマンが盛られた皿と、たれの入った器
焼く前のジンギスカンの羊肉と野菜。だるまで撮られた写真ではありません。写真:Douglas Perkins / CC0(Wikimedia Commons)

早い時間に始めるなら、飲み進める前にお腹を作っておきます。1954年(昭和29年)創業のジンギスカン「だるま」の本店は南5条西4丁目にあり、店はカウンター14席だけ。予約はできず、貸切もできません。

私がこの店を信用したくなったのは、行列について正直すぎる案内です。公式サイトには、外に並んでもらうことが多く7〜8時は時間がかかるかもしれない、9時前後は比較的並ぶ時間が少ないことが多い、と書いたうえで、「このホームページを出すことによって集中することも予想される」と添えてあります。14席のカウンターのどれかが空くのを、店の外の列で待つことになります。

営業は17時から翌朝5時まで(ラストオーダー4時30分)。休みは12月31日〜1月2日だけです。

ラーメンは「元祖の店」ではなく横丁で

夜、狭い入口の上に「元祖さっぽろラーメン横丁」と書かれた黄色い看板が光り、前を人が歩いている
ラーメン横丁の入口。2012年の撮影です。写真:Sgroey / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

札幌観光協会によると、味噌ラーメンが誕生したのは1955年。ラーメン店「味の三平」の店主が、味噌汁をヒントに作ったのが始まりと言われています。その味の三平はいまも、すすきのから少し北へ歩いた南1条西3丁目のビルの4階にあります。ところが営業は18時20分まで。元祖の一杯を食べたいなら早めの夕食にしてください。深夜の〆には間に合いません。

〆の一杯は、南5条西3丁目、N・グランデビル1階の「元祖さっぽろラーメン横丁」へ。横丁もまた自らを味噌ラーメン発祥の地と呼んでいます。歴史は1951年(昭和26年)、東宝公楽の横にできた8軒が「公楽ラーメン名店街」と親しまれたところから始まりました。横丁の歴史のページには、「平成28年までのネオン看板」とだけ添えた写真が残っています。

濁った金色のスープに、チャーシュー、ねぎ、もやし、きくらげがのった味噌ラーメン。黒いレンゲが丼に渡してある
味噌ラーメン。撮影された店は記録されていません。写真:毒島みるく / CC0(Wikimedia Commons)

営業時間と休みは店ごとに違うと横丁自身が書いているので、時間より先に店を決めておきます。

  • 天鳳は1974年(昭和49年)創業で、いまは三代目。味噌ラーメンを「創業当時から変わらぬ昔ながらのみそラーメン」と呼んでいます。営業は月〜土が11時〜翌2時、日曜は11時〜24時。15〜17時は仕込みで閉めることがあり、材料がなくなれば早めに終わります。休みは不定休です。日付が変わってから向かうなら、ここです。
  • 國光は丸一日煮込むスープで、「札幌味噌ラーメンは最強」と言い切っています。営業は22時まで(売り切れ次第終了)で、火曜と水曜が休みです。早めに切り上げる夜ならこちらへ。

そして、グラス

2015年9月、札幌の飲食店7店舗が集まり、ある習慣に名前をつけました。季節にかかわらず、飲んだ後や食事の後に冷たくて甘いパフェで締める。彼らが「札幌ならではの食文化」と呼んだその習慣が、「札幌シメパフェ」です。日付が変わったあと、下の通りの明かりがまだ消えないうちに、背の高いグラスが目の前に置かれるところを想像してみてください。

ラーメン横丁から歩いてすぐの加盟店が2軒あります。

  • ななかま堂は南4条西5丁目のビル2階にある夜パフェの店で、すすきの駅から徒歩2分。運営会社は「夜パフェで唯一、日本酒など和のテイストをとりいれたお店」と紹介しています。営業は18時から、日〜木と祝日は24時まで、金・土・祝前日は翌2時まで。定休日はありません。予約はできません。未成年の入店は22時までです。
  • 幸せのレシピ~スイート~Plusは南4条西3丁目のビル5階。19時から翌3時まで(ラストオーダー2時)、定休日なし、予約不可です。おすすめは、ピスタチオとビターチョコのジェラートが入った、お酒にも合わせたパフェです。

ラーメンをもう1杯、と思ったら、その前にビルの上の階を見上げてください。

もう1つのすすきの:接待のある店と客引き

薄暗いバーのテーブルに、氷とレモンの入った霜のついたハイボールのジョッキ。後ろにメニューがある
ウイスキーのハイボール。撮影された店は記録されていません。写真:Ttsuchitori / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

あのビルの上の階には、接待のある店も入っています。すすきの観光協会は、ニュークラブ・クラブ・ラウンジ・スナック・ガールズバーと種類ごとに店を一覧にしていて、住所や営業時間と並んで1人あたりの予算の目安まで載せています。ニュークラブの一覧の10店では、予算は6,000円前後から2万円前後で、多くが20時に開きます。

行ってみるなら、その一覧から店を選び、自分の足で入ってください。通りで声をかけてくる人にはついて行かないこと。札幌市の条例は、すすきのを含む中心部の指定区域の公共の場所で客引きを禁じていて、区域内で客引きに連れてこられた客を店に入れることも店側に禁じています。つまり、この区域の歩道で店へ誘ってくる人は、ルールを破っています。席に着く前に、合計でいくらになるかを私なら聞いておきます。

出かける前に

だるま本店南5条西4丁目 クリスタルビル1階。17:00〜翌5:00(L.O. 4:30)。12月31日〜1月2日のみ休み。予約不可・カウンター14席。カード可、電子マネー不可
味の三平南1条西3丁目 大丸藤井セントラル4階。11:00〜15:30、17:00〜18:20。月曜と第2火曜が休み(時期により変わり、月ごとの休業日は公式サイトのお知らせに出る)
元祖さっぽろラーメン横丁南5条西3丁目 N・グランデビル1階。営業時間・休みは店ごとに異なる
天鳳(横丁内)月〜土 11:00〜翌2:00、日 11:00〜24:00。15〜17時は仕込みで閉めることあり・材料切れで早じまいあり。不定休。カード・電子マネー・QR決済可
國光(横丁内)11:00〜15:00、17:00〜22:00(売り切れ次第終了)。火曜・水曜休み。カード・電子マネー・QR決済不可
ななかま堂南4条西5丁目 2階。日〜木・祝 18:00〜24:00、金・土・祝前日 18:00〜翌2:00。定休日なし。予約不可。未成年は22時まで
幸せのレシピ~スイート~Plus南4条西3丁目 5階。19:00〜翌3:00(L.O. 2:00)。定休日なし。予約不可
接待のある店すすきの観光協会が種類ごとに一覧を出し、1人あたりの予算の目安を載せている。すすきのを含む中心部の指定区域では客引きが禁止

2026年9月28日に確認。

すすきので私ならこうする

9時を少し過ぎたころ、14席のカウンターの列に並びます。店が「集中することも予想される」と先回りして書いている時間だと分かっていても、あの正直な案内を読んだら、その時間に行きたくなります。そのあと、その夜に本当に迷うのはラーメンかパフェかの1つだけで、私はパフェにします。

この記事の筆者は、すすきのと紹介した店を訪れていません。 事実は下の公式情報によるもので、2026年9月28日に確認しました。

  • すすきの観光協会 — 地名の扱い、明治4年の区画、名前の由来の2つの説、ビルの中に広がる街の様子、夜の人口、業種別の店の一覧(営業時間・予算):susukino-ta.jp/history/、susukino-ta.jp/history/index2.html、susukino-ta.jp(ニュークラブ一覧)
  • 札幌市 — 客引き行為等の防止に関する条例(2022年7月1日全面施行):city.sapporo.jp/shimin/chiiki-bohan/kyakuhikikouitouboushijourei/kyakuhikiboushijourei.html
  • 札幌観光協会(ようこそさっぽろ) — 1955年に味の三平で味噌ラーメンが誕生したこと:sapporo.travel/gourmet/feature/miso-ramen/
  • 味の三平 — 所在地・営業時間・休業日:ajino-sanpei.com
  • 元祖さっぽろラーメン横丁 — 1951年からの歴史、昔のネオン看板、天鳳と國光のページ:ganso-yokocho.com/rekishi/、ganso-yokocho.com/shop_list/tenho/、ganso-yokocho.com/shop_list/kunimitsu/
  • だるま — 創業、席数、営業時間、支払い方法、行列についての案内:sapporo-jingisukan.info/main
  • 札幌シメパフェ — 2015年9月の始まりと、ななかま堂・幸せのレシピの加盟店ページ:sapporo-parfait.com/open、sapporo-parfait.com/shop-nanakamadou、sapporo-parfait.com/shop-shiawasenorecipe
  • 株式会社GAKU(ななかま堂の運営)・株式会社イノヴェッグ(幸せのレシピの運営) — 営業時間・席数・年齢制限:yoru-parfait-gaku.com/parfait/shop-info/、innovegg.info/shop-list
  • 写真:トップの写真は lumoplank(CC0)、ジンギスカンの皿は Douglas Perkins(CC0)、ラーメン横丁は Sgroey(CC BY-SA 4.0)、味噌ラーメンは 毒島みるく(CC0)、ハイボールは Ttsuchitori(CC BY-SA 3.0)。いずれも Wikimedia Commons

札幌のほかの記事

  • 札幌市時計台 — 1881年の時計が鳴らす毎正時の鐘を、向かいの無料テラスで聞き、南へ狸小路まで歩くために
  • 小樽運河 — 日没直後に倉庫の上の空が青く染まる時間と、昼か夜のクルーズのために
  • サッポロビール博物館 — 煙突の赤い星の由来と、日本語のガイドツアーだけで飲める復刻札幌製麦酒のために
  • 定山渓温泉 — 通りにある無料のお湯のために。かっぱの手湯、足湯、温泉たまごが作れる源泉
  • 札幌の宿 — 夜をどこで終えるかで泊まる場所を選ぶために。最後の一杯ならすすきの、朝の列車なら駅、1泊は定山渓
札幌ガイドの6本をすべて見る

ほかのエリアを見る

  • 北海道 — 札幌 · いまここ
  • 関東 — 箱根
  • 北陸 — 金沢
  • 甲信東海 — 富士五湖
  • 関西 — 奈良
  • 中国 — 広島
  • 九州 — 福岡
  • 沖縄 — 那覇
北陸北陸関西関西中国中国関東関東北海道北海道沖縄沖縄甲信東海甲信東海九州九州New ChitoseNaritaHanedaChubuKansai IntlFukuokaNahaNew ChitoseNaritaHanedaChubuKansai IntlFukuokaNaha